東北大、水環境の”きれいさ”の違いが色覚の個体差を決めることを発見

東北大学生命科学研究科教授の河田雅圭氏と大学院生の手塚あゆみ氏は、東京大学、総研大、University of East Angliaの研究グループと共同で、グッピーの原産国である南米のトリニダッド島とトバコ島の10地点の野生グッピー集団を用いて、色覚に影響する6つのオプシン遺伝子の変異を調べた。

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その結果、緑色や赤色の見え方に関係する赤型オプシン遺伝子のうちの2つ(LWS-1,LWS-3)で、集団の間で光吸収波長の異なるオプシンをつくる遺伝子が自然選択によって頻度を増加させていることが示された。また、その違いは水環境の違い(溶存酸素量の違いによる水の色の違い)が異なる遺伝子の有利性に関係していることがわかった。

溶存酸素量が高く、よりきれいな水環境では、より長波長の光(より赤い)を感受する遺伝子が進化し、溶存酸素量が低く植物プランクトンが繁茂している環境では、逆により波長の短い光(より緑)を感受する遺伝子が進化してきた傾向がある。

場所によって異なる遺伝子が選択されていることで、全体として異なる遺伝子が維持されていることが明らかになった。このようなオプシン遺伝子の個体の間の違いが、雄の体色を雌が選ぶときに影響していることも期待でき、今後調べる必要がある。

今回の成果は、河川の富栄養化などによる水の色(植物プランクトンの増殖)の変化が、魚類の色の見え方かに大きな影響を与えていることを示している。

詳しくは東北大プレスリリースへ。