愛媛大,免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見

愛媛大学 大学院医学系研究科教授の山下政克氏は,同医学部附属病院 先端医療創生センター助教の桑原誠氏らと共同で,老化に伴う免疫機能異常のメカニズムの一端を明らかにした。

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老化によって,病原体などに対する獲得免疫応答が著しく低下するとともに,過剰な炎症反応が引き起こされり。それにより慢性的な炎症状態が誘導され,最終的に加齢に伴う慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)の発症増加につながると考えられている。この現象は,免疫老化と呼ばれ,免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞の機能的な劣化が一因だと考えられていたが,そのメカニズムは不明だった。

研究チームは,マウスでメニン(Menin)というたんぱく質が,ヘルパーT細胞の老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにした。次に,Meninの下流で働いて老化に伴う過剰な炎症反応の誘導を抑える分子として,バック2(Bach2)というたんぱく質を同定した。今回の研究から,ヘルパーT細胞の老化に伴ってMeninの機能が弱まり,MeninがBach2の発現を誘導できなくなることが,炎症状態につながる可能性が示唆された。

研究チーム今後,この仕組みをさらに詳細に解析し,制御法を見つけることで,老化に伴う慢性炎症疾患の発症や感染症の増加の予防・治療へとつながることが期待されるとしている。

詳しくはJSTプレスリリースへ。