アジレント・テクノロジー,高感度のハンドヘルドFTIRを国内市場に投入へ

アジレント・テクノロジーは,高速・高感度のハンドヘルドFTIR「Agilent4300」を2014年5月より出荷する。価格は500万円からで,ラボに持ち込むことができない巨大な対象物を高精度に測定できないかというユーザニーズに応え開発した。

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同社によると,化学分析市場規模は年間130億ドルとされ,4~5%の長期成長率を推定する。同社の2013年度の化学分析事業の売上高は16億ドルだが,化学・エネルギー,環境・法医学,食品分野における化学分析機器市場で高いシェアを持つ。

今回国内市場に投入するハンドヘルドFTIRはラボ用FTIRの性能を屋外でも可能にすることをコンセプトに開発されたもの。海外市場では高感度ハンドヘルドFTIRの需要は堅調というが,国内ではハンドヘルドタイプは低感度のイメージがあるとし,同社・取締役兼執行役員の合田豊治氏は,「Agilent4300を販売展開することで,そのイメージを払拭したい」と意気込む。

Agilent4300は従来のハンドヘルドFTIRに比べ35%の軽量化を実現。超小型干渉計を開発したことで,重量はバッテリ2個収容で2.2kgとなっている。また,人間工学を追求し,測定負担を抑えるエルゴノミクスデザインを採用。また,スキャンスピードはDTGS検出器を搭載モデルでは2.3スキャン/秒,MCTスキャンを搭載したモデルでは5.6スキャン/秒だが,ソフトウェアレスポンスは従来製品の1秒に対して0.3秒と高速となっている。

検出部にはサンプルの形状・性状によって最適なインターフェイスを付け替えることができ,様々な固体,液体サンプルの測定に適したダイヤモンドATR,表面の粗いサンプルの測定に最適な拡散反射,表面付着物や薄膜状のサンプルの同定が可能な外部反射,さらに薄膜の測定を可能にするグレージングアングル,カーボンクラックを含む高屈折率サンプルを測定できるゲルマニウムATRの5つのインタフェースを用意している。

同社では当初,航空分野や太陽光発電分野などにおけるコーティング材料の識別・同定,複合材料の非破壊検査,ポリマーの品質管理などをターゲットマーケットとするが,将来的には食品分野への適用も目指すとしている。

アジレント・テクノロジー プレスリリース