東北大学は,避難所などにおいて被災者自身が装置を簡単に起動させることができ,自分自身のスマートフォンやノートパソコンなどを用いて衛星回線経由でインターネットへアクセスできる環境を提供できる通信装置を開発し,3月25日,宮城県山元町にて実証実験を実施した。
大災害発生後の緊急救助の要請は衛星携帯電話などで行なわれるが,そのあとの段階では自治体や被災者自身が組織的な対応をするという状況になる。この状況では,インターネットへのアクセスなど,やり取りされる情報量が増加し,衛星携帯電話だけでは不十分になる。
そこで,今回開発したマルチモード VSAT を自治体,病院,避難所などに展開して使うことで大量の情報がやりとりできるようになる。さらに,マルチモード VSAT は,携帯電話などの地上系の通信インフラにも接続できるため,地上系のインフラが復旧できた段階で,順次それに切り替えていくという機能も持っている。
マルチモードVSAT は,例えば避難所において被災者自身が装置を簡単に起動させることができ,自分自身のスマートフォンやノートパソコンなどを用いて無線 LAN や衛星回線経由でインターネットへアクセスできる環境を提供する。
日本国内で利用できる衛星通信システムは複数方式あり,例えば自治体間の通信に用いられるLASCOM 回線や,民間企業や団体などが組織内の通信網や防災用途に用いる EsBird サービスなどがある。
マルチモード VSAT は,被災地で使用する時点でソフトウェアを切り替えることでどちらの方式にも使用できる。また,これまでの衛星通信では通信衛星方向へのアンテナ位置合わせや,運用開始前の衛星管制局との連絡が必要だったが,電源さえ確保すれば,電源を入れて起動ボタンを押すだけで通信衛星を自動的に探すことができ,衛星管制局との連絡も不要となる。
詳しくは東北大学プレスリリースへ。