東北大,人が横目でものを見ようとせずに頭を向ける理由を発見

東北大学電気通信研究所は,視覚的に物を認識する場合,目が正面を向いている場合の観察に比べて目を横に向けた場合(いわゆる横目の状態)の観察ではうまくできなくなる(成績が下がる)ことを発見した。この研究成果により,目がどこを向いているかだけではなく,頭部や身体方向も無視できない影響を持っていることが示された。

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人間はかなり広い範囲に目を動かすことができるにもかかわらず,周辺に存在する対象を見る場合に(頭部の正面から左右に 30°を超えた範囲),目だけではなく,頭や体をそちらに向けることが以前から知られていた。これまでこの行動の原因が,脳内の運動制御メカニズムによるものだけなのか,それに加えて視覚的な認識の問題も含むものなのかは,明らかになっていなかった。

研究グループは,視覚探索課題という実験を用いて,横目観察と視覚的な情報処理の関係について調べた。視覚探索とは,複数のアイテムの中から指定された標的を探す課題。視覚探索課題を顔の正面で観察する場合と,顔を正面からずらし横目で観察する場合とで行ない,横目観察で成績が低下すること確認した。

これまでの研究では,人がどのような情報処理をしているかという問題を考える際に,主に眼球の位置を中心にした議論がなされていた。しかしこの研究成果により,それだけではなく,頭部や身体方向も無視できない影響を持っており,考慮する必要があることが示された。

また今回の成果は,頭部方向に基づいた視覚的な認識がある可能性も示唆しており,人の頭部方向を計測することで,その人がどこに意識を向けているかを推定できるようになる可能性を含む(例えば,監視カメラの粗い映像からでも頭部方向情報を抽出できれば,ある程度人の情報認識の推定が可能となる可能性がある)。

これは,従来の眼球運動を計測するよりもはるかに容易な方法であり,効率的な情報提供を考える際に,大きな貢献をすると期待できるもの。

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