東北大,半導体中のスピン検出感度を40倍に増幅することに成功

東北大学の研究グループは,ドイツ・レーゲンスブルグ大学らの研究グループとの共同研究により,独自のスピンエサキトンネル接合素子を作製し,半導体を流れる電子スピンの検出感度を従来よりも最大約40 倍まで増幅させることに成功した。

これまで,シリコンSi やゲルマニウムGe 等のIV 族半導体をチャネル材料としたスピントロ
ニクスデバイスにおけるスピン検出に関する研究において,スピン蓄積があると仮定したときの理論予想よりもスピン信号がはるかに大きい値を示しており,この異常信号の起源が分かっていなかった。このことから,これらの実験で得られた信号が半導体中に蓄積したスピン信号であるかどうかということが疑問視されていた。

今回の研究では,強磁性半導体ガリウムマンガンヒ素(Ga,Mn)As と非磁性半導体ガリウムヒ素GaAs のヘテロ接合が形成するスピンエサキダイオード構造を用いることにより,半導体中のスピン流を検出する際の異常に大きい電子信号の起源を解明し,スピン検出感度を最大約40倍まで増幅することに成功した。

この結果は,スピントロニクスの分野にスピン信号増幅というこれまでになかった機能を付加することとなり,スピン情報の高感度電気検出など新たなスピントロニクスデバイスへの展開が期待できるもの。

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