経産省,2020年時点での3Dプリンタの経済波及効果を21兆8,000億円と試算

経済産業省は2013年10月から開催してきた,3Dプリンタが生み出す付加価値と,今後のものづくりの方向性を考察した報告書「新ものづくり研究会」をまとめた。この中で,2020年時点での3Dプリンタがもたらす経済波及効果は21兆8,000億円になると試算した。

この数値は装置・材料などの直接市場,付加製造装置・3Dプリンタで製造した製品市場,研究開発などで付加製造技術を活用することによる生産性の向上を合計したもの。3Dプリンタ市場はFDM(熱溶解積層)方式に関する特許が失効したことなどで,装置の低価格化が進み,国内では2013年にブーム元年となり,広くその名が浸透した。

このFDM方式3Dプリンタ市場では参入メーカも増加傾向にあり,競争が激しさを増している。これに伴い,光造形法やレーザシンタリングといった高精度な3Dプリンタで,それまでの試作用途から最終製品を製造できるものとして,注目が集まった。

報告書では21兆8,000億円市場の内訳も示しており,それによれば,2012年の装置・材料及びソフトウェア市場が約2,300億円だったが,2020年には約1兆円になると予測。また,2020年の付加製造装置・3Dプリンタで製造した製品市場のうち,個人向け3Dサービス市場規模が約1兆1,000億円,部品などの直接造形市場が6兆5,000億円,交換用部品の製造が3兆1,000億円と想定。試作・開発プロセス市場が1兆6,000億円,製造プロセス市場が8兆5,000億円になるとしている。

3Dプリンタなど付加製造技術は大きな可能性を秘めている一方で,課題が多いのも事実だ。精度や強度の問題があるほか,使用できる材料の制約,造形速度と大きさには限界がある。また,デジタルデータで思いのままの形状が造れるわけではなく,造形にあたっては詳細な条件設定などノウハウの蓄積が必要となる。さらに必ずしも従来の製造技術より優位性があるとは限らない。3Dプリンタなど付加製造装置の利活用には十分な理解が必要になる。

装置メーカ主導による制約もあるという。技術は欧米メーカが先行しているが,多くの装置は造形条件出しにユーザの意向が届きづらく,またメーカ指定の材料しか保証されない状況になっている。これら様々な弊害が指摘されており,国内主導でこうした構造を取り払うことが重要だとしている。

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