富士経済は光学・エレクトロニクス分野を中心に使用される高付加価値の粘接着・封止材に関する世界市場を発表した。
それによると,3Dプリンタ用樹脂の2013年見込みは世界で1,295億円,国内で195億円になるとし,2017年予測は世界で対12年比3.9倍の3,300億円,国内で同3.0倍の450億円としている。
3Dプリンタ用樹脂
3Dプリンタ用樹脂は,アクリル系樹脂が使用されるUV硬化型樹脂系とABS樹脂が多く使用される熱可塑性樹脂系の2種類がある。2012年の数量ベースの構成比は同程度であるが,将来的には小型のインクジェット式プリンタの需要増加に伴い,UV硬化型樹脂系の比率が拡大するとみられている。金額ベースでは,UV硬化型樹脂系が高価格のため市場の伸長をけん引。日本ではUV硬化型樹脂系の比率が高い。
偏光板貼り合せ用接着剤
PVAフィルム(偏光子)と偏光板保護フィルムのラミネートに用いられるUV硬化型樹脂を対象とする偏光板貼り合せ用接着剤市場については,近年,偏光板保護フィルムの素材をTACフィルムからアクリルフィルムやPETフィルム,COPフィルムに切替える動きがあり,それに伴いUV硬化型樹脂を用いたラミネートが導入されている。
市場はまだ立ち上がったばかりで,2013年は僅少にとどまる見込みだが,2014年以降はアクリルフィルムやPETフィルムを保護フィルムに採用した偏光板の生産が本格化するとみられ,2017年の世界市場は13億円を予測する。
FPD・タッチパネル分野
FPD分野では,有機ELパネルの構造変化により,有機EL用シール材(樹脂)が注目されている。シール材はガラスから樹脂へのシフトが進むとみられ,有機ELパネルの拡大に伴い需要増加が期待される。
タッチパネル分野では,スマートフォンやタブレットの生産拡大により,タッチパネル用OCAやタッチパネル用OCR,飛散防止フィルムの需要が堅調。また,熱可塑性UV硬化型OCAや偏光板貼り合せ用接着剤が,既存の接着剤需要を代替し市場を拡大するとしている。
FPD・タッチパネル分野の世界市場の2013年見込は514億円,2017年予測 は12年比144.5%の653億円 を予測する。
太陽電池分野
2012年は太陽電池の価格が低下し,粘接着・封止材についてもコストダウン要求が強まり価格が下落したため市場は縮小。2013年の市場は回復に向かい前年比8.5%増の1,422億円を見込む。 太陽電池の供給過剰による在庫調整が終わり,太陽電池メーカが価格戦略の見直しに入ったことから,今後は粘接着・封止材の価格も安定し,市場拡大が期待できるとしている。
この分野の9割を占める太陽電池封止材が市場全体をけん引し,2017年の世界市場は12年比56.0%増の2,044億円を予測。 その他の品目では,太陽電池タブ線用ハンダ代替材料が環境規制強化を背景に需要を取り込み,年率10%以上の高成長が期待できるとし,色素増感型太陽電池用シール材の市場は,短期的には小規模にとどまるとしている。
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