フジクラは,東京大学から「すばる望遠鏡用ファイバ200km」を受注した。
すばる望遠鏡では,望遠鏡の主鏡によりとらえられた数千の天体像の光(380nmから1,300nm)を同時に観測する必要があるため,数千本のファイバで数十m先の分光器まで低損失で届ける必要がある。分光器により,その天体の光がどのくらい過去に,どのくらい離れたところから来たのかを知るための多くのサンプルデータを取得することができる。さらに,微弱な光を効率良く受光するために,大口径ファイバには高開口数(NA≧0.22)が要求される。しかし,これまで短波長域から長波長域まで低損失かつ高開口数の大口径ファイバを実現することは困難だった。
今回同社では,ファイバ構造および製造方法の最適化を行うことで,紫外領域に吸収損失のある石英ガラスの構造欠陥を大幅に抑制し,1,300nm付近での低損失性を維持しつつ,観測に重要な波長の一つである395nmにおいて,38dB/km(典型値)という業界最低損失な大口径ファイバの開発に成功した。
この低損失な大口径ファイバは,種々の顧客評価試験から,従来の天体観測用ファイバよりも優れた特性を有していることが確認され,今回の受注につながったという。このファイバは,分光分析用など広い波長範囲で低損失特性が求められる分野への適用が期待されている。
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