東京モーターショー2013は,例年に増して活気づいていた。自動車メーカが試作した,フォルムやデザイン面など先進性が高い次世代のコンセプトカーの展示が相次ぎ,今後の自動車の方向性を探る多くの来場者の関心を集めた。
自動車の開発は自動運転技術の進展に伴い,ますます安全性に対する重要度が増している一方で,より機能的なデザインも求められるようになってきた。例えば,ヘッドライトもその一つ。光源は現在,ハロゲンランプやHIDランプ(High Intensity Discharge lamp)が主流だが,LEDといった固体光源の採用も進んでおり,ヘッドライトのLED化は小型化設計を可能にするため,よりデザイン性を高めることができると期待されている。
さらにこの先に実用化を控えているのが,レーザを光源とするヘッドライトだ。このレーザヘッドライトを先の東京モーターショーで発表したのは,小糸製作所とスタンレー電気だ。両社が出展したのはいずれもモックアップだが,「LEDよりも,より小型化を図ることができるため,デザイン性の幅は格段に上がるだろう」と睨んでいる。特に期待されているのが,ウインカーなど標識灯の機能拡張だ。自動車のデザイナーにとってはアイデアの裾野が広がるため,関心は高いという。
光源は青色半導体レーザと蛍光体を組み合わせて白色光とするものだが,実用化に向けては課題が多い。もちろん,現在のLEDがそうであるように,コストパフォーマンスの向上もあるが,法制化や高効率化,安全性などの大きな問題がある。法規制に関しては既に議論が進んでいるところだというが,ランプメーカにとっては高効率化と安全性の確保には十分な開発期間と検証が必要だとしている。高効率化に関して,確かにレーザの効率は従来に比べ格段に向上しているが,ヘッドランプに適用する場合,耐温度性能がシビアに求められるという。安全性に関しては,これを担保するために十分配慮した設計・開発が行なわれるというものの,事故などでレーザ光が外に出てしまうといった不測の事態に備えなければならない。当然ながら,今後こうした課題はクリアされていくものと考えられる。
ランプメーカがさらに口にするのは,LEDとの差別化だ。LEDヘッドライトも小型化へと向かっており,デザイン面でのアドバンテージは高い。例えば,スタンレー電気が開発したレーザとLEDとの組み合わせによるヘッドライトも一つの答えになるかもしれない。
海外自動車メーカに目を転じると,BMWやアウディがレーザヘッドライトを搭載したコンセプトカーを関連展示会で披露し,注目を浴びた。今後の実用化の行方には目が離せない。