東レ,中空構造体を形成できる封止材を新開発

東レは,スマートフォンなど携帯用電子機器に搭載される電子部品のさらなる小型化・高密度実装に貢献する封止(パッケージング)用材料として,新たな「感光性ポリイミド接着フィルム」を開発した。

同社は2005年から,デバイスとその外側を覆う封止材の接着剤として,エポキシ系封止用耐熱接着剤フィルムを製造・販売している。部品形状に忠実に追随して変形する柔軟性と,大きな伸びに耐える破断伸度を特長としているが,今回開発したのは,それ自身で小さな中空構造体を形成するという,部品小型化に貢献する感光性ポリイミド接着フィルム。

これにより,部品パッケージのサイズがデバイスとほぼ同じという小ささで,切り離す前の半導体ウエハ上で一度に大量の中空構造が形成できる、「ウエハレベルCSP(Chip Size Package)」が可能となる。

ウエハレベルのデバイス上で中空構造を形成するためには,①数十マイクロメートル幅の微細パターンが形成できる材料特性,②中空構造を保持するための強度などの機械特性,接着性,③後工程や使用環境での耐熱性を要する。

この接着フィルムは,150℃以上の耐熱性などそれらの条件を満たしつつ,露光によるフォトリソグラフィで隔壁,屋根を形成することで,デバイス上で必要な部分のみを中空構造化することができる。

ジャイロセンサなど中空構造を持つ電子部品を形成する際に,この接着フィルムを用いれば感光によるパターン加工で微細な立体構造を作ることができるため,従来の金属板等で組み立てる場合と比べ,大きさ(体積)を約1/3に小型化することが可能となるという。

同社は今後,機械的駆動を伴い中空構造を必要とするMEMS等の電子部品向けに販促を行ない,2014年度10億円の売上を目指す。

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