理研、海藻類の有機・無機成分複雑系の統合解析技術を構築

理化学研究所は、多様な分析機器を用いて海藻類の成分が季節変動に同調して変化する現象を網羅的に捉え、各計測データを統合的に解析・評価する手法を構築した。

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海藻類に含まれる多様な化学成分は、食糧をはじめ、飼料、肥料、材料、ファインケミカルなどに幅広く利用され、また多糖類の金属吸着性は水質浄化の面でも注目されている。海藻類の成分は、季節により変動することが知られているが、海中というヒトが制御できない自然環境の中で育つ海藻類の成分の季節変動による複雑な変化を捉えるには、時系列的に、かつ網羅的に計測し、そのデータを統合的に評価することが必要。しかし、個々に計測したデータを統合するためのデータ処理技術や、総合的に生物を評価する計量化学的な手法は、まだ開発されていない。

研究チームは、天然ヒジキの成分の季節変動を捉えるため、一年間を通して採集を行ない、多様な分析機器を用いて網羅的に成分を計測した。得られた各計測データに対して前処理を行った後に統合し、自己組織化マップや構造方程式モデリングいった計量化学的解析をした結果、季節的な特徴や成分を捉えることができた。また、こうした自然環境の変動と多糖類の構造やミネラル組成が同調して変化する現象を確認した。

農林水産物の成分評価では、実験室において従来の科学的アプローチにより得られた結果が、現場と乖離している事例が多く見受けられる。今回開発した評価手法は、刻々と変動する自然環境中の試料から成分同士の同調性を計算できるため、実験室と現場の乖離を減らし多様な農林水産物の評価への展開が期待できる。

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