新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)、産業技術総合研究所は、NEDOの革新的カーボンナノチューブ(CNT)複合材料開発プロジェクトの成果として、eDIPS法により合成された高結晶性の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)に混在する金属型と半導体型のCNTを分離する技術を開発、純度と回収率の飛躍的な改善に成功した。
今回、あらかじめ分離した高純度の金属型および半導体型SWCNTを用いて、さまざまな溶液条件下でのゲルに対する吸着の定量解析を行なった。その結果、SWCNTのゲルへの吸着力がSWCNTの電気的性質だけでなく、溶液の環境にも依存することを発見。pHを減少させたり、塩などの溶質濃度を増加させたりすると、吸着力は低下する。逆に、pHを増加させたり、溶質濃度を減少させたりすることによって、吸着力を増加させることができた。
このような性質は、SWCNTに吸着している界面活性剤の密度の変化で理解することができる。SWCNTのゲルへの吸着力は、SWCNT表面の界面活性剤密度が増加すると弱まることが知られている。pHの減少によるSWCNTの酸化や、溶質濃度の増加による静電遮蔽効果によってSWCNT表面の界面活性剤密度が増加することにより、SWCNTのゲルへの吸着力が低下すると考えられる。
この技術を用いて金属型と半導体型に分離した後のSWCNTは、要望する国内企業にTASCが無償でサンプル提供、SWCNTの用途開発を促進する。
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