産総研、 InGaAsトランジスタの性能向上のための新構造を開発

産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター特定集中研究専門員の入沢寿史氏らは、東京工業大学電子物理工学専攻 教授の宮本恭幸氏、住友化学と共同で、新構造の採用により性能を従来から2倍向上させたインジウムガリウムヒ素(InGaAs)トランジスタを開発した。

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四角形断面を持つInGaAsの立体構造上に、適切な条件でInGaAsを再成長させて、両斜面が(111)B面である三角形断面の立体構造を作製した。この立体構造をチャネルとしたトランジスタは、(111)B面に起因する高移動度と、再成長時の表面平坦化により、従来のInGaAsトランジスタの2倍の電子移動度を示した。これにより、トランジスタの動作電圧を下げられるので、従来の四角形断面構造に比べ、集積回路の消費電力が最大で6割程度低減することが期待される。

研究グループは今後、p型トランジスタの高性能化に適したゲルマニウム(Ge)の立体チャネルトランジスタと組み合わせ、CMOS回路としての動作を検証していく。トランジスタ単体の性能だけでなく、Si-CMOS回路を上回る回路性能、あるいは低消費電力化を目指す。

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