積水化学と産総研、室温プロセスでフィルム型色素増感太陽電池の試作に成功

積水化学工業R&Dセンターは、産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門先進コーティング技術プラットフォーム研究班主任研究員の廣瀬伸吾氏などと共同で、エアロゾルデポジション法(セラミック材料の常温高速コーティングプロセス方法,以下「AD法」)を活用し、従来の高温焼成を不要とし、世界で初めて室温プロセスでのフィルム型色素増感太陽電池の試作に成功した。

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今回試作した太陽電池では、産総研の保有するAD法技術と、積水化学の保有する微粒子制御技術・多孔膜構造制御技術・フィルム界面制御技術を駆使し、光電変換層とフィルムの高い密着性と良好な電子輸送性能を実現することで、有機フィルム上の色素増感太陽電池としては世界最高水準の8.0%の変換効率を得た。

熱エネルギーの代わりに高速衝突エネルギーによる微粒子結着メカニズムを利用することで、従来の高温焼成セラミック形成プロセスが不要となり、室温でのフィルム化に成功した。耐熱性の低い汎用フィルムや粘着テープのような材料にも成膜が可能で、さまざまなフィルム基板を用いた色素増感太陽電池が製造可能となり幅広い用途が期待される。

加えて高温工程が不要であり製造負荷が低減できる。また、ロール・ツー・ロール(RtoR)化が可能で、生産性向上によりプロセスコストの大幅な低減が期待される。これらにより、低コスト、薄型、軽量、大面積、フレキシブル色素増感太陽電池の生産が実現できるようになる。

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