東工大ら,放射性同位体ニオブ92が超新星爆発のニュートリノで生成されたことを理論的に解明

日本原子力研究開発機構,国立天文台,東京工業大学の共同研究グループは,太陽系初期にのみ存在した放射性同位体ニオブ92(半減期は約3千5百万年)が,超新星爆発のニュートリノで生成されたことを理論的に解明した。

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現在の太陽系にニオブ92は存在しない。しかし,隕石研究によって,約46億年前に太陽系が誕生した時点では,ニオブ92が存在していたことが明らかになっていた。ところが,ニオブ92が宇宙のどこでどのように生成されたかは未解明の問題であった。これまで,いくつかの仮説が提唱されたが,いずれもニオブ92の量を定量的に説明できなかった。

研究グループは,太陽系誕生の直前に,太陽系近傍で超新星爆発が発生し,放出されたニュートリノによって超新星爆発の外層でニオブ92が生成され,爆発によって吹き飛ばされて太陽系に降り注いだとの仮説を立てた。超新星爆発モデルにニュートリノ核反応率を組み込んで計算したところ,ニオブ92の量を定量的に説明できることが判った。

この研究によって,長年に亘って謎であったニオブ92の起源が明らかになった。さらに,ニオブ92を生成した超新星爆発から太陽系誕生までの時間を100万~3000万年と評価した。このように年代を計測できる放射性同位体を宇宙核時計と呼ぶ。今後,隕石研究が進み,より正確な量が判れば,より正確に時間を評価できるようになる。

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