カーボンナノチューブの世界市場,2017年には43億円に

富士キメラ総研は,2013年7月から8月にかけて微粉体市場を調査し,その結果を報告書「2013年 微粉体市場の現状と将来展望」にまとめた。

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この調査では,汎用無機,金属,金属酸化物,セラミックス,ポリマー,ナノマテリアルなど6分野の微粉体について,市場規模,参入メーカおよびメーカシェア,サイズや素材,製造工程などの製品/技術動向などを把握して,微粉体市場の現状と今後の方向性を明らかにした。

微粉体は混合によって容易に各種素材の高機能化に寄与し,自動車やエレクトロニクス,産業機器,化粧品,ライフサイエンスなど応用用途が幅広いマテリアルである。特に近年,材料やデバイスなどの高機能化ニーズが高く,微粉体が果たす役割は年々重要になっている。

中でも1991年にNECによって発見され,量産技術が開発されたカーボンナノチューブ(CNT)は,ダイヤモンドと同等の硬度を持ち,高電流密度(銅の1,000倍),高熱伝導(銅の10倍),導電性などさまざまな特性・機能を持っている。LiBの電極用材や搬送用トレーに用いられたが,市場の縮小や,代替品への移行で市場は横ばい推移となり,12年も電池用の不振から横ばいが続いていた。

2013年は,電池用ではLiB正極材への採用機運が高まるなど,再び需要が増加している。また搬送用トレーなどの樹脂添加用途も堅調に増加すると見込まれ,全体として回復しつつある。今後は,樹脂添加用およびLiB正極材を中心に市場は拡大が予測される。特に,LiB用需要はこの製品市場をけん引するとみられる。

東レは12年に世界で初めて2層CNTを使った透明導電フィルムの量産化技術を確立した。このフィルムは,90%以上の光透過率と,実用的に十分な導電性を高いレベルで両立し,現在主流のITOフィルムに比べ屈曲性や耐湿熱性,耐衝撃性も優れ,高い耐久性や実用上の信頼性を備えている。さらに無彩色な色目で,ディスプレイの色再現性を損ないにくく,近年急速に普及する電子書籍や電子看板などの用途に適している。

CNTとフラーレンは,最も成長が期待される。いずれもナノ炭素材料として発展途上の品目だが,機能性を活かした用途展開が進められている。今後各種電池関連部材などでの需要拡大が見込まれ,すでにCNTではLiB用の電極素材として市場が拡大している。フラーレンも化粧品用途などが先行しているが,今後は有機薄膜太陽電池などの用途で拡大が期待される。

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