九大、固体酸化物電解質燃料電池の低温作動化などへの応用が期待できる新規高酸素イオン伝導体を発見

九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)水素製造研究部門主任研究者/インペリアル・カレッジ・ロンドン教授のJohn A. Kilner氏の研究グループは、固体酸化物電解質燃料電池(SOFC)の低温作動化などへの応用が期待できる、新規高酸素イオン伝導体「Na0.5Bi0.5TiO3」を発見した。

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酸素イオン伝導体は、燃料電池の電解質、酸素分離膜、センサなどに応用可能な重要な機能性材料として知られている。Na0.5Bi0.5TiO3(NBT)は鉛(Pb)を含まない圧電体だが、圧電または強磁性をもつ物質への応用において、電流が漏れることが課題だった。

今回、この原因が、作製時に生じた蒼鉛(Bi)欠損と酸素(O)欠陥による酸素イオン伝導の影響であることを発見し、マグネシウム(Mg)をチタン(Ti)サイトに添加することで、600℃で0.01S/cmという大きな酸素イオン伝導を示すことを見出した。この発見は新しい酸素イオン伝導性酸化物の設計に新しい方針を与えることを可能とし、画期的な進歩といえる。

I2CNER では低炭素エネルギー社会の実現を目的に太陽光発電と太陽熱を利用した高温電解による CO2を排出しない水素製造を目指しており、今回の発見は高温水電解による水素製造能力を大きく向上できる成果として、今後の展開が期待できる。

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