分子研、共役二次元高分子の合成と有機半導体への応用に成功

自然科学研究機構分子科学研究所准教授の江東林氏らの研究グループは、共役二次元高分子を化学的に合成し、高速キャリア移動を可能とする新奇な有機半導体の開拓に成功した。

131119bunshi2

研究グループは、フェナジンと呼ばれる有機化合物で連結した共役二次元高分子を、縮合反応を利用して合成した。共役二次元高分子は、二次元的に広がった多孔性高分子シートを有し、積層することにより高い結晶性を持つ共役有機骨格構造体を形成する。この共役高分子は、シート内における周期的な構造およびシート間における規則正しい積層を有するため、高度な分子配列を有する有機半導体となる。すなわち、三次元的に周期構造を有する共役高分子の合成が可能となった。

今回合成した共役二次元高分子は、4.2 cm2V-1s-1という類のない高いキャリア移動度を示した。さらに、細孔に電子アクセプターを導入することにより、ドナー・アクセプターからなる電荷分離システムを構築することがでる。この場合、ドナーとアクセプターが独立した二相連続構造を形成し、電荷分離を実現することができる。例えば、共役二次元高分子からなる光スイッチは、優れた光伝導性を有し、かつ1000万:1という極めて高いオン/オフ比を示した。

今回開拓された周期的な構造を有する共役高分子は、高速キャリア移動を可能にし、かつ極めて高い光伝導性をもたらすもの。このように配列構造が完全に制御された共役二次元高分子は、その他にも様々な応用が期待される。例えば共役二次元高分子を用いて太陽電池を作成することも可能であり、光電変換への応用も期待できる。

詳しくはこちら