理研、不完全な糖鎖をきれいに分解するメカニズムを発見

理化学研究所、台湾・中央研究院、米国サンフォード・バーナム医学研究所の共同研究グループは、哺乳動物の細胞でタンパク質と糖鎖との結合(糖鎖修飾)に使われる「ドリコールオリゴ糖」において、低グルコース環境下でピロフォスファターゼによって未成熟型ドリコールオリゴ糖だけが分解されることを発見した。これにより、糖鎖修飾の品質を保つ仕組みの一端が明らかになった。

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共同研究グループは、糖鎖の品質管理機構に着目し、低グルコース環境でのドリコールオリゴ糖と関連する代謝産物を、生化学的な手法を用いて定量的に解析した。その結果、低グルコース環境では、未成熟型ドリコールオリゴ糖がピロフォスファターゼによって速やかに分解され、リン酸化糖鎖へと代謝されることが分かった。

このピロフォスファターゼ依存的な分解反応は、正常な量のグルコース環境では起こらない高度に制御された反応であることも分かった。さらに、この分解反応の制御機構を解析した結果、低グルコース環境では、単糖を運ぶ役割を担うGDP-マンノースの量が劇的に低下していることが分かった。

これらの結果から、低グルコース環境ではGDP-マンノースの供給量が減少するため、ドリコールオリゴ糖の構築が完了せずに未成熟型ドリコールオリゴ糖の量が相対的に多くなり、それらがピロフォスファターゼによって速やかに分解されることが明らかになった。今回明らかとなった、ピロフォスファターゼによる未成熟型ドリコールオリゴ糖の分解反応は、異常な糖鎖修飾を防ぐ「品質管理機構」として働くことが示唆された。

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