生理学研究所准教授の西村幸男氏と米国ワシントン大学の研究グループは、自由行動下のサルに大脳皮質の神経細胞と脊髄とを4×5cmの神経接続装置を介して人工的に神経結合し、大脳皮質と脊髄のつながりを強化することに世界で初めて成功した。

研究チームは、大脳皮質と脊髄間のつながり（シナプス結合）を強化する目的で、自由行動下のサルの大脳皮質の神経細胞と脊髄とを神経接続装置を介して、人工的に神経接続した。神経接続装置は、大脳皮質の神経活動を記録し、それを電気刺激に変換し、0.015秒の遅延時間（刺激のタイミング）をおいて、脊髄に対して電気刺激をする。

サルは神経接続装置と伴に、自由に日常を変わらず過ごした。すると、次の日には大脳皮質と脊髄間のシナプス結合の強さは、人工神経接続前と比較すると、より強くなっていた。シナプス結合の強さは、刺激のタイミングが重要で、0.012-0.025秒だと強化され、0.050秒以上ではシナプス結合の強さに変化が見られなかった。

さらに、刺激のタイミングを短くするとシナプス結合の強さが減弱された。この結果は、自由行動下の動物でシナプス結合を強めたり、弱めたりした世界で初めての成果。研究グループは、この研究成果を日常生活で利用可能な脊髄損傷や脳梗塞などの運動・感覚麻痺に対する新しいリハビリテーション法として応用することを目指す。

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