米国調査会社CIR社の調査レポート「光インターコネクト市場と技術予測 2012-2020年:第2巻 オンチップとチップトゥチップ - Revenue Opportunities for Optical Interconnects: Market and Technology Forecast – 2013 to 2020 Vol II: On-Chip and Chip-to-Chip」は,チップレベルの光インターコネクト市場は数十億の出荷数と収益が見込まれ,実現可能市場は2019年の5億2,000万ドルから2021年には10億2,000万ドルに達するだろうと予測している。
この調査レポートの対象企業は,アバゴ,シスコ,コーニング,ダウ・ケミカル,デュポン,Finisar,富士通,古河電工,IBM,インテル,ジュニパー,マイクロン,Optical Interlinks,QDレーザ,リフレクスフォトニクス,Samtec,住友電気工業,テラキシオン,東京エレクトロン,ULM Photonics,VI Systemsなど。
並列コンピューティングがますます一般的になり,マルチコアプロセッサや3Dチップの登場によって,オンチップでもチップトゥーチップでも,データ通信の渋滞を引き起こしている。しかしこの調査レポートは,これらの動向がチップレベルの光インターコネクトのビジネスチャンスを形成するだろうと述べている。
アバゴ,Finisar,IBM,Samtecは,チップレベルのインターコネクト用の光学エンジンを提案している。これらの小型化した光アセンブリは,この用途においては現在最も成熟した技術で,2019年に2億3,500万ドルの収益となるだろう。しかし,次世代のExaScale(エクサスケール、超大型)のスーパーコンピュータの複雑な光インターコネクトの環境においては,光学エンジンはコネクタやヒートシンク(放熱器/板)が付属するために大きすぎることになるだろう。
一方,マルチコアプロセッサや3Dチップの登場は,現在のコンピュータのスピードは,CPU相互やメモリデバイスとのやり取りの速度に依存していることを表している。だとすれば,信頼性が高くロスが少なく高速なチップ間のインターコネクトこそが重要になるだろう。インターコネクトの伝送速度の必要条件は,現在でも数百回に達する。
光学エンジンには前述のような制限があるため,リン化インジウムやガリウムヒ素ベースのコンパクトなフォトニック集積回路インターコネクトデバイスにビジネスチャンスがでてくるだろう。CIR社は,これらの市場は2019年の1億2,000万ドルから2021年には2億7,500万ドルに達するだろうと予測している。しかし,シリコンプロセッサやメモリチップにフォトニック集積回路インターコネクトをボンディングすることは,技術的に難しく,高価でもあるだろう。そのため,フォトニック集積回路やVCSEL技術企業で,インターコネクトにビジネスチャンスを求める企業はあまりない。
シリコンフォトニクスは魅力的な技術だが,インテルなどの企業は,長年にわたってシリコンを使ったアクティブ光デバイスを作ろうと苦闘している。シリコンレーザ技術のブレークスルーは,電子情報処理と光統合の両方の完全統合ができるひとつの光インターコネクトといった重要な開発にあるといえよう。チップレベルの光インターコネクトの発展には,より高速なVCSELも重要であるだろう。いくつかの企業や研究機関が,55Gb/sまでを扱える高速VCSELを発表しているが,そのようなレーザの広範な商用化はまだである。量子ドットによるVCSELも提供されており,インターコネクトでの用途があるだろう。
この調査レポートは,光学エンジン,インターコネクトベースの光集積回路(フォトニック集積回路),シリコンフォトニクス,フリースペースオプティックス(FSO)の4種類の光インターコネクトを調査している。アクティブコンポーネント,ファイバ,導波管伝送メディアに区分して,数量と金額の9年間の予測を行なっている。化合物半導体,シリコン,ポリマー(重合体)の導波管,VCSEL(Vertical Cavity-Surface Emitting Laser,垂直キャビティ面発光レーザ),シリコンレーザ,量子ドットレーザなどについて調査している。その他,チップレベルの光インターコネクト分野の最新の事業動向や技術戦略についても記載している。
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