理研、ステロイドが効かない重症ぜんそくのメカニズムをマウスで解明

理化学研究所、東海大学、慶應義塾大学の共同研究グループは、マウスを使い重症ぜんそくで抗炎症薬剤「ステロイド」が効かなくなるメカニズムを解明した。

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理研の小安氏らは2010年、新しい免疫細胞「ナチュラルヘルパー細胞(NH細胞)」を発見した。NH細胞は、インターロイキン(IL)の1つIL-33の刺激を受けると、炎症を起こすタンパク質を放出して免疫系を活性化する。ぜんそくでは、IL-33の刺激を受けたNH細胞による免疫系の活性化で、気道の炎症が悪化する。本来、NH細胞の細胞死を誘導し炎症を抑制するステロイドに対して、抵抗性を獲得するメカニズムは分かっていなかった。

共同研究グループは、ぜんそくモデルマウスを用いた実験により、気道で作られるタンパク質「TSLP」がステロイド抵抗性に関わることを発見した。TSLPがIL-33とともにNH細胞に作用すると、NH細胞がステロイドに対する抵抗性を獲得することが分かった。さらに、この作用を調べた結果、TSLP が「Stat5」という転写因子を活性化し、NH細胞の細胞死を防いでいた。そこで、Stat5阻害剤をマウスに投与したところ、NH細胞のステロイドへの抵抗性が消失し、重症ぜんそくが改善することが明らかになった。

ヒトにおいても、ステロイドが効かない重症ぜんそくにStat5 阻害剤を用いることで、ステロイド抵抗性をコントロールできる可能性が示された。

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