NEC C&C財団は,2013年度の「C&C賞」の受賞者を発表した。今回受賞したのは東京大学大学院工学研究科教授の菊池和朗氏と東北大学電気通信研究所教授の中沢正隆氏,それにコロンビア大学教授のウラジミール・バプニック氏。
(写真左から,菊池 和朗 博士,中沢 正隆 博士,ウラジミール バプニック 教授)
菊池氏と中沢氏はコヒーレント光ファイバ通信システムの高度化に関わる先駆的・先導的研究開発が評価された。
広帯域な光ファイバアンプを用いた波長多重伝送技術は,1990年代中盤以降急速に進展し,幹線系伝送システムとして実用化され広く普及している。 しかし,年率約40%で増加する情報通信容量の要求には新たなブレークスルーが必要であり,伝送速度を40~100Gbps以上にあげるべく研究開発が進められたのが,QPSKやQAM等の多値デジタルコヒーレント伝送方式の導入だ。
この技術は,光強度のオン・オフに情報を載せていた従来技術と異なり,光周波数の位相にもたくさんの情報を載せることと,デジタル信号処理によって,伝送波形の劣化を効果的に自動補正することを同時に実現する技術だが,菊池氏と中沢氏は,この大容量長距離伝送の根幹をなす技術に関して極めて先駆的・先導的な功績をあげており,適応技術の開発と選択を含めて,新技術の有効性を先頭に立って提案・実証してきた。
一方のウラジミール・バプニック氏は統計的学習理論の構築並びに高性能かつ実用的な学習アルゴリズムのブレークスルーを作り出したことが評価された。
なお,表彰式典は11月27日にANAインターコンチネンタルホテル東京で開催される。
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