海洋研究機構ほか、南極のオゾン減少とアフリカ南部における夏季の気温上昇との関係を世界で初めて解明

海洋研究開発機構地球環境変動領域及びアプリケーションラボと東京大学、ビンドゥラ大学(ジンバブエ)マナツサ研究員の共同研究チームは、アフリカ南部の地域社会に大きな影響を及ぼしている近年の地上気温上昇の原因について、過去30年の観測データ及びNECP(米国立環境予測センター)/NCAR(米国大気研究センター)の再解析データを解析したところ、南極上空のオゾンの減少がアフリカ南部でアンゴラ低気圧を強化させた結果、この地域の夏季の気温を上昇させていることを世界で初めて明らかにした。

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オゾンホール拡大期では、アフリカ南部でアンゴラ低気圧が強化され、北側の熱帯域から暖かい空気をより多く運んでいることが分かった。また、このアンゴラ低気圧の強化は、南大西洋のセントヘレナ高気圧が西側に偏り南下するとともに、南インド洋のマスカリン高気圧が東側に偏り南下した結果、アフリカ南部が両高気圧の狭間になったことに伴うものだった。これらの高気圧の変化には、南半球の中高緯度に存在する大気の変動現象「南半球環状モード」が関係していた。

この研究の成果から、地域レベルの近年の気候変化について、温暖化のみならず、地域固有の原因も存在する可能性を具体的に示すとともに、今後、南極のオゾンホールの軽減対策が、アフリカ南部の気温上昇を抑える可能性があることを示したものとして、今後の研究の進捗が期待される。

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