理研など、細菌の免疫システムを担うCmr複合体の構造と機能を解明

理化学研究所はオランダのワーゲニンゲン大学と、細菌が持つ免疫システムを担う巨大な分子複合体の「Cmr複合体」の構造と機能を解明した。この発見は、高等動物が進化の過程で得た獲得免疫の起源とその進化を解明するために重要な知見となる。

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細菌は、生命の歴史のなかでも初期に誕生した生物である。多くの細菌は、獲得免疫に似た「CRISPR-Cas(クリスパー-キャス)システム」と呼ばれる防御システムを備えている。共同研究グループは、細菌のうちの一種である「高度好熱菌Thermus thermophilus HB8株」をモデルとして、このシステムの全容を解明し、獲得免疫の起源や進化の一端を明らかにすることに挑んだ。

共同研究グループは、CRISPR-Casシステムを担う6種のCasタンパク質とRNA断片で構成されているCmr複合体を単離精製し、遺伝子解析や電子顕微鏡観察などによって詳細な構造と機能を解明した。その結果、Cmr複合体はユニークならせん構造をしていることに加え、そのRNA断片は感染したウイルスのRNAの一部に結合することでウイルスを捕らえ、切断することでウイルスを破壊し感染を防ぐことが分かった。

生物は古来より、ウイルスとの戦いを繰り返してきた。本研究は、生物が長い歴史の中で培ってきたウイルスに対する免疫・防御システムの原型や進化を知る上で重要な発見といえる。

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