同志社大ほか、副作用のないアルツハイマー病治療に向けての新技術を開発

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、同志社大学は、アルツハイマー病の原因と考えられるアミロイドβたんぱく質(Aβ)を産生する酵素の特性を解明し、新しいAβ産生抑制方法を開発した。

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γセクレターゼが切断するたんぱく質の特性(長さ)に着目し、γセクレターゼがAβのもととなるたんぱく質(C99)の先端部分を捕らえて切断することにより、Aβを産生することを明らかにした。次に、C99の先端部分に結合するベプチド試薬(C99結合ペプチド)を開発し、その効果を検討したところ、γセクレターゼがC99の先端部分を捕らえることができず、切断できないことが分かった。また、このペプチドはC99以外のたんぱく質切断には影響を与えないことも分かった。

これらの結果から、C99結合ペプチドは、Aβ産生を特異的に抑制できることを実験的に証明した。さらに、このペプチドはAβの産生のみならず、C99自体の産生も特異的に抑制することが分かった。1つの薬剤でAβ産生に関わる2つのたんぱく質切断を抑えることにつながり、まさに一石二鳥の効果をもたらすことができた。

この研究成果は、副作用の少ないアルツハイマー病予防や治療に役立つことが期待される。また、従来のような酵素を標的とする手法とは異なり、酵素が切断するたんぱく質(基質)に着目した創薬アプローチは、がんなどのほかの疾患にも展開できる可能性を秘めている。

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