グローバル インフォメーションは,市場調査会社BCC Researchが発行した報告書「Global Markets, Technologies and Applications for Flexible Displays(フレキシブルディスプレイの世界市場・技術・アプリケーション)」の販売を開始した。
このレポートによると,2012年に3,910万ドルだったフレキシブルディスプレイの市場は,2013年に2億460万ドルまで拡大する。また,2018年の市場規模は26億ドルに達し,今後5年間の年平均成長率は66.2%になる見通し。
フレキシブル電子ディスプレイは,破損したり,機能を損なったりすることなく,曲げたり,巻いたり,ねじったりすることができる。数年前から実用化に向けた模索が続いていたが,ようやく電子書籍リーダー,ノートブックPC,携帯電話,デジタルサイネージ,タブレット,電子ペーパーなどの用途に対応する幅広い分野の製品を市場に投入する目処が立ちつつある。ディスプレイというコミュニケーションの強力な手段に柔軟性を付け加えるという着想は,多様性に富む極めて大きな収益の流れを生み出す可能性を秘めている。
先ごろ大手電子機器メーカ2社が,フレキシブルディスプレイ搭載のスマートフォンを近い将来投入する計画を発表したことで,市場の熱気は一気に高まっている。この発表は,重要性の高い市場で実用フレキシブルディスプレイのデビューが広く認知された初めてのケースといえる。フレキシブルディスプレイの市場は,誕生間もない段階にあり,実用化の原動力となっている技術や関連企業の特質を明確に把握するのは必要不可欠で,開発を推進する側の企業も,世界各地の主要な国々の市場でこの技術を採用した各種用途向けの製品が持つ可能性を把握しておく必要がある。
柔軟性のない基板を使用する現在のディスプレイ技術は,画質,多彩な動画のサポート,技術の進歩,価格競争力などの点で極めて高い水準に到達しており,実用フレキシブルディスプレイ開発の成否は,柔軟性の高い基板をうまく融合させることができるかどうかという点にかかっている。
現時点でフレキシブル基板の候補となっている材料の大半は,有機分子や有機化合物を使用したものだが,これらの材料でできた基板は元々耐熱性が乏しいため,今主流となっている半導体製造技術を利用することができない。このためこれまでとは異なる製造技術が模索されることになり,その過程で印刷業界など,半導体以外の分野の技術にも目が向けられることになった。BCC Researchは,今後数年間に実用化されるフレキシブルディスプレイのほとんどが,動画機能や形状などの点で条件があまり厳しくないような用途に対応する製品になるとの見通しを示している。
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