九大、質量分析イメージング法による緑茶カテキンの生体組織内分布情報の可視化技術の開発に成功

九州大学大学院農学研究院主幹教授の立花宏文氏らは、緑茶に多く含まれ様々な健康増進効果が知られている緑茶カテキンの一種である EGCGならびにその代謝物が体内でどのように分布するのかを視覚的に確認できる質量分析イメージング技術の開発に成功した。

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質量分析イメージング技術を用いて、EGCG の分布を可視化するためには EGCG をイオンにする必要がある。立花氏らは物質のイオン化を補助する有機化合物を探索することで、ある種のジアミノナフタレン溶液とEGCGと混合し、レーザ(波長=337 nm)を当てることで、EGCG分子が飛び出してイオンになることを見つけた。

マウスにEGCGを飲ませ、1 時間後に肝臓と腎臓を取り出して、凍結薄切片を作成。これにジアミノナフタレン溶液を吹きかけてから質量分析装置で測定した。得られた複数のイオンからEGCGとともにEGCG由来の代謝物イオンを取り出し、それらの分布を画像化。その結果、EGCG を投与したマウス肝臓と腎臓で EGCG の可視化に成功し、それと同時に両臓器で EGCG 代謝物の同時画像化が可能となった。

また、EGCG の分布は肝臓では一様なのに対し、腎臓における分布は部位により異なること、複数の代謝物の分布との間にも差異があることを世界で初めて明らかにした。 従来の標識化法の欠点を克服できるこの分子イメージング技術は、その実態が不明瞭であった緑茶カテキンの保健効果の解明に寄与するとともに、様々な機能性食品成分や薬剤の簡便な局在解析と体内動態の理解に役立つことが期待される。

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