浜松ホトニクス,来春にフォトニック結晶レーザのサンプル供給を開始

京都大学と浜松ホトニクスらのグループは,高出力で高ビーム品質,単一スペクトル,ビーム広がりの抑制を同時に実現する,従来の概念を越えた次世代型レーザ光源とも言うべき,フォトニック結晶レーザの実用化に世界に先駆けて成功した。来年春には,各種用途に向けて,浜松ホトニクスから国内外の各種装置メーカにサンプル出荷を開始する予定。

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開発品は,フォトニック結晶効果により,広い発光面積を持ちながら高ビーム品質・単一スペクトルで面発光の高出力動作が可能となり,高密度光が得られる。基本構造そのものは通常の半導体レーザと類似しているため,フォトニック結晶構造を活性層近傍に形成するだけで容易に作製でき,信頼性も高いと言える。

また,放射ビームがほとんど広がらないため,集光レンズ系の簡素化,ファイバーへの高い結合効率が可能。さらに,フォトニック結晶形成後は,エピタキシャル成長により素子を完成させるため,低欠陥で高い信頼性が得られる。これらにより,レーザ装置の低価格化と小型化,高信頼性を実現する。

まず,世に出す製品としては,光出力が0.2W(CW)クラスで,波長としては1060nm帯,980nm帯,940nm帯の3種類を予定している。用途としては,直接レーザ微細加工用光源,各種励起用光源,プロジェクタ用の波長変換用基本波光源,センシングや計測用光源,位置検出,測距イメージセンサ,プロファイル測定,モーションセンサなどに応用していく。将来的に,さらに光出力が増大すると,車体などの金属加工など,さらに広範なものづくりの現場にも応用可能になると考えられる。

高品質かつ高出力なレーザを,小型かつ低コストで導入できる環境が整うことで,我が国におけるものづくり現場でのレーザの導入を推し進め,製造ラインの全自動化や,従来を遙かに超える性能精度での材料加工等の実現や新しい光技術分野への展開が期待される。

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