産業技術総合研究所はCIGS太陽電池サブモジュールとして初めて18%を上回る変換効率η=18.34%(指定面積:3.576 cm2)を達成した。
CIGS太陽電池で一般的に用いられるソーダ石灰ガラス基板を用いて、CIGS太陽電池サブモジュールを作製した。光吸収層には、これまで培ってきた高性能CIGS製膜技術を集約し、表面のミクロなくぼみ(ボイド)が少ない表面平坦性に優れた、均質かつ高品質な光吸収層を作製した。
今回作製した太陽電池サブモジュールは4つの太陽電池セルを直列に接合した集積構造を持つ。この集積構造は、(P1)モリブデン (Mo)裏面電極のレーザースクライビングによる切り分け,(P2)バッファー層/CIGS光吸収層のメカニカルスクライビングによる切り分け,(P3)透明導電膜/バッファー層/CIGS光吸収層のメカニカルスクライビングによる切り分けからなる方法によって形成される。
これらのスクライビングされた領域は太陽電池の光電流生成に寄与しない領域(デッドエリア)となり,光電流の損失原因となる。今回,スクライビング条件,パターン形状などの最適化を進め,集積化工程により導入される電気的損失を最小限に抑えるとともに,デッドエリアの低減により光学的損失を低減した。
高い集積化技術と高品質CIGS光吸収層製膜技術を融合した結果,CIGS太陽電池サブモジュールとして初めて18%を上回る変換効率η=18.34%(開放電圧:2.963V,光短絡電流:29.05 mA,曲線因子:76.2%,指定面積:3.576cm2)を今回実現した。
今回開発した技術は,太陽電池モジュールの変換効率向上の鍵となる要素技術であり,大面積太陽電池モジュールや,フレキシブル太陽電池モジュールなどへ広く応用できる。量産化レベルの太陽電池モジュールの変換効率の向上,またそれによる発電コストの低減,太陽電池モ ジュールの高機能化などへの貢献が期待される成果。
詳しくはこちら。