農研機構,高感度カメラを用いた無人農業用水路トンネル検査装置を開発

農研機構 農村工学研究所は,農業用水路トンネル内部のひび割れなどの不具合箇所を,無人かつ通水状態で点検可能な調査技術を開発した。調査は,開発した装置を水路トンネル上流坑口から放流し,下流坑口で回収することにより実施する。水路トンネル内部を記録する高感度カメラが,常に水路トンネルの側壁と天端を正面から撮影できるよう,自動制御されることが特徴。このため,ひび割れ,漏水などの不具合箇所を見落としなく撮影・記録することが可能。

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開発した装置は,直径450 mm,高さ528 mm,重さ約35 kgの円筒型の装置。透明のドームの内部に,水路トンネルの左右の側壁と天端部分を撮影するための高感度カメラを3台搭載している。この装置を流下させると,どうしても装置全体が回転するが,本体に取り付けた4つの赤外線センサが壁面との距離を測り,その変化量から回転方向と量を予測し,検出された回転方向とは逆向きに,透明ドーム部を回転させる。この制御により,高感度カメラは常に壁面に対して垂直となり,歪みの少ない画像が得られる。

また,レーザドップラー速度計により,投入した坑口からの移動距離を求めており,不具合が発生している位置をおよそ推定することも可能。

農業用水の他にも,既に上水,工業用水用の水路トンネルの調査に活用できないかとの問い合わせがあるとしているほか,今後は地震後の緊急点検への適用も考えられるという。

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