NECソフト,農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所,インプランタイノベーションズ,奈良先端科学技術大学院大学は,共同研究により,新規蛍光タンパク質を組み込んだ光るトレニア(Torenia fournieri)の開発に成功した。これまで,植物自体の特性として蛍光を発するものはなかった。
この「光る花」は,海洋プランクトンの一種であるキリディウス属(Chiridius poppei)から発見された新規蛍光タンパク質の遺伝子情報を,遺伝子組換え技術を用いてトレニアに導入したもので,暗闇の中で特定の波長の光(励起光)を当てると鮮やかな黄緑色の蛍光を発する。強い蛍光を安定に発する新規蛍光タンパク質と,このタンパク質を細胞内に多量に蓄積させるための技術を組み合わせることで,これまでにない強く光る花を実現した。
これまでも,他の研究グループによってオワンクラゲ(Aequorea victoria)の緑色蛍光タンパク質(GFP)等を植物体に組み込むことで「光る花」を開発する試みはあったが,実際に目で確認できるほど強い蛍光を発する植物は得られていなかった。
この成果により,研究面では,遺伝子発現を植物体のまま非破壊で解析する技術が大幅に向上する一方で,市場への「光る花」の提供が可能となる。今後は,植物体における蛍光タンパク質の活性維持法や,観察および展示手法について研究を行なう。
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