日立,3次元X線CTを用いて高圧・高温下の蒸気と水の流れの可視化に成功

日立製作所と日立GEニュークリア・エナジーは,沸騰水型原子炉の運転条件に相当する約70気圧,290℃という高圧・高温下での,蒸気と水の流れを3次元的に可視化するX線CTシステムを開発した。このシステムにより,燃料を最適に配置することで効率良く運転させることや燃料の冷却特性を詳細に把握することができ,沸騰水型原子炉の経済性・信頼性をより一層向上させることが可能になる。

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日立が開発した産業用X線CTシステムにより,X線管からの円錐状のX線ビームが利用できるようになり高さ方向の複数の断層像を一度の撮影で取得することが可能となった。この技術を用いて,沸騰水型原子炉内部の流動状態を模擬できる実験装置の配管内を流れる蒸気と水を測定するX線CTシステムを開発した。

配管に向かって設置したX線管と透過X線量検出器を回転させて,配管の全周方向からのX線撮影を連続的に行なうことで,直径250mm×高さ80mmの領域における蒸気割合(流体に含まれる気体の容積割合)を,0.3mmの細かさで3次元的に可視化することが可能。これを沸騰水型原子炉内部と同じ流動条件で蒸気と水の特性を評価したところ,沸騰水型原子炉の運転条件である,約70気圧に耐えるために必要となる肉厚な配管を用いた試験であっても,その内部の流動特性を詳細に分析できた。

従来の2次元X線CTは,物体を縦・横の断面で撮影するため,3次元断層像を測定するためには高さ方向の位置を変更しながら撮影を繰り返し行なうことが必要だが,今回開発した3次元X線CTシステムは,一度に縦・横・高さの3次元断層像を撮影することができる。このため,3次元X線CTは,2次元X線CTと比べて約1/250にあたる30分で配管内の蒸気と水の流れの3次元断層像を撮影することが可能になる。

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