2012年の国内LED照明市場,前年比195.0%の4,204億円

矢野経済研究所では2013 年2 月~5 月,国内の照明市場の調査を実施した。それによると,2012 年の一般照明用途の照明総市場規模は、前年比118.1%の1 兆264 億5,000 万円(メーカ出荷金額ベース)となった。市場は2011 年に続いて二桁台の成長を遂げており,東日本大震災以降の省エネニーズの高まりを追い風に急速に拡大した。

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2012 年の内訳をみると,照明器具(従来光源)が3,752 億5,400 万円(前年比90.3%),ランプ(従来光源)が2,307 億9,600 万円(前年比96.8%)と減少しているのに対し、LED 照明は4,204 億円(前年比195.0%)と大幅な成長を遂げた。

一般照明用途の照明市場は,本来,主な需要先である建築物の新設着工動向に大きく依存した市場であるが,新設以外にもランプをはじめとした一定規模以上のリプレース需要が見込め,急激な増減が生じない安定した市場と見られてきた。しかしながら近年,その傾向には変化が見られ,大震災以降の節電・省エネに対する社会的機運の高まりを背景に,従来の白熱灯・蛍光灯照明からエネルギー効率に優れるLED 照明への需要のシフトが顕著に生じることとなった。

2013 年以降も省エネニーズは高水準を維持しており,高効率な照明であるLED 照明を牽引役として,一般照明用途の照明総市場は今後も成長していくと考えるとしている。

これまでの白熱灯や蛍光灯といった従来光源照明においては,装置産業的な性格が色濃く,光源から完成品としての照明器具までを一貫生産できる大規模メーカに優位性があった。しかし,LED照明については,LED チップや電源回路,導光板,他の部材を外部調達しアッセンブルすれば,製品が生産できるというように参入障壁が比較的低い特性がある。

また,これまでのランプと照明器具のような明確な区分がなく,光源と照明器具が一体型となったものもあれば,最終製品としてのLED ランプが照明器具に組み込まれる従来型も存在する。

このため,電子部品や制御機器,住宅メーカまでさまざまな事業者の新規参入が続いている。一方では,照明器具専業メーカやファブレスメーカーが大胆に事業をLED 照明にシフトしてきている。各社ともLED 照明の普及拡大の波に乗り遅れないよう,商品ラインナップの拡充,用途領域や販路の開拓などに注力しており,LED 照明におけるメーカ間の競争も日増しに激しさを増している。

省エネ法の改正により,オフィス・事業所分野においても幅広く省エネへの取り組みが進められている。その中で,ビル・建物などの維持管理を請け負うファシリティマネジメントサービス事業者やオフィス家具販売事業者,OA機器関連事業者などが,さまざまな省エネ関連のサービス提供を始めるとともに,オフィス・事業所へのLED 照明の提案をしている。

これは,事業所毎の電力などのエネルギー利用状況を測定し,省エネ法におけるエネルギー報告書用のデータを提供するなど省エネソリューションサービスを提供するとともに,その一環としてLED 照明器具への代替・販売を行なうもの。

特にファシリティマネジメントサービス事業者は,さまざまな顧客の施設管理実績を持ち,省エネソリューションサービス売上高を伸ばしているが,そのうちLED 照明の売上比率がかなりの部分を占めていると考えるとしている。

すでに一般照明用途の照明としてLED 照明は中心的な存在となったが,照明器具全体における普及率はまだ数%程度である。今後もLED 照明の普及とともにさまざまな動きが起こっていくと考えるとしている。

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