三菱マテリアルは,レーザを用いた切削工具の形成加工技術を開発した。
従来,切削工具の形態加工は,砥石などの工具を使って行なわれてきたが,工具寸法を小さくする上で加工できる寸法に限度があった。また,cBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体やダイヤモンドといった難加工材を加工する場合,同じcBN焼結体やダイヤモンドでしか加工手段がないため,難加工材との競合で砥石が早期に摩耗変形するため,製品寸法精度を確保することに問題があった。
今回,開発したレーザを用いた切削工具の形成技術は,レーザ光を集光することにより,切削工具で加工可能な数10μmより小さな寸法であるミクロンオーダの集光径を可能にするとともに,砥石と異なり摩耗もしないため,加工時の調整が不要で安定した加工を行なうことができるというものだ。
また,レーザ加工では,加工時に生じる加工対象物への外力が加わらないため,加工部位に歪みを与えることなく,寸法精度を確保することができるとしている。
これにより,cBN焼結体やダイヤモンドといった難加工材を単純な切断による2次元的な加工だけでなく,奥行きを持った3次元加工も可能にし,自由な形状を形成することができるとともに,微細でシャープな刃先を持たせる切削工具を製造することができるようになった。今後は,同社のcBN焼結体を用いた小径エンドミルをはじめとする切削工具新製品に応用していく考え。
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