科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、JSTさきがけ研究者(東京大学 大学院医学系研究科 産婦人科学講座 研究員)の廣田 泰氏らは、体質などの母体側因子と感染・炎症の組み合わせが早産の発生を高めていること、およびその仕組みをマウスで発見し、この仕組みに関わる経路を複合的に抑える早産予防法の可能性を明らかにした。
本研究グループは、これまで約半数の個体が早産を自然に起こす早産体質のマウスモデルを確立している。今回、そのマウスにさらに環境因子として通常では無害の量の細菌成分を投与すると、100%早産になることを発見した。そして、その早産発生の仕組みとして、母体側の因子としては、たんぱく質「mTOR(エムトール)」による子宮の細胞老化が関与しており、環境因子としては感染や炎症により「妊娠ホルモン」である黄体ホルモン(プロゲステロン)の低下が関わっていることを明らかにした。
また、マウスモデルでmTOR阻害剤と黄体ホルモンの同時投与により、早産の予防に有効であることも分かった。
本研究で発見した早産の発生に関わる仕組みに着目することによって、早産の新しい予防法の確立につながることが期待される。
詳しくはこちら。