NTTとJAXAは,高精度に電界を測定する技術としてNTTが開発中の光ファイバを活用した「電気光学プローブ」(以下 EOプローブ)を応用し,小惑星探査機等で使用されているマイクロ波放電式イオンエンジン内部のプラズマ中のマイクロ波電界計測に世界で初めて成功した。
JAXAはイオンエンジン作動中にプラズマ中におけるマイクロ波電界の分布を測定する技術を必要としていたが,従来のプローブは,金属を使用しているため電界に散乱を起こしてしまい,また,大型のため精密測定ができず,イオンエンジン内部のプラズマ中のマイクロ波電界について,正確な計測が困難だった。
NTTはJAXAとの共同研究においてマイクロ波電界の測定に必要とされる感度安定性,耐磁界性,および耐熱性の高い「光ファイバ」を活用したEOプローブを開発し,イオンエンジン内のマイクロ波電界測定に世界で初めて成功した。測定結果から,マイクロ波が伝搬できなくなるマイクロ波カットオフ現象を緩和することで,イオンエンジンの性能をさらに向上できることが判明した。
この成果は,これまでは困難であったイオンエンジン作動中の内部情報を得ることで,プラズマ生成メカニズムの解明に貢献したもの。今後,更に高性能なイオンエンジンの設計が可能となり,イオンエンジンを使用する小惑星探査機や各種の人工衛星が,これまでより遠くの惑星をめざしたり,長寿命化を図るなど,効果的・効率的な宇宙活動の実現が期待される。
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