東京工業大学、東京大学、国立天文台を中心とする研究チームは,地球から約60光年離れた太陽型の恒星(GJ 504)を周回する惑星GJ 504 bを,世界で初めて直接撮像法で検出することに成功した。
太陽系の惑星軌道程度の広がりに位置する惑星は,これまで 10 例程度しか報告されていない。恒星自体は肉眼でも見える明るさ (約5等級)だが,惑星は赤外線波長で 17~20 等ととても暗く,恒星の 60 万分の1以下の見かけの明るさしかないため,系外惑星を直接画像に写すこと(直接撮像観測) は,非常に挑戦的な課題となる。研究チームは GJ 504 b を7回に渡って観測し,背景星でないことも,さらにはその主星 GJ 504 に対して軌道運動することも確認した。
直接観測では,惑星の質量は明るさと年齢に基づいて推定されるが,これまでに撮像に成功している惑星はいずれも年齢が5千万年以下と若く,用いる天体進化の理論モデルによって惑星質量に不定性が生じる。
木星の約 14 倍の質量を持つ天体は褐色矮星(惑星と恒星の中間的な質量を持つ天体)として区別されることが多いが, この質量不定性が惑星と褐色矮星の区別を非常に難しくしている。実際,新しいモデルを用いると,これまでに直接撮像された全ての惑星が木星質量の 14 倍よりも重い天体になってしまう。
一方,GJ 504 b の場合は年齢が1~5億年と比較的年老いているため,質量推定においてこの不定性の影響は小さくなる。研究チームはさまざまなモデルを用いても GJ 504 b の質量は褐色矮星の質量よりも十分に小さいことを突き止めた。GJ 504 bは,まさに「第二の木星」と呼ぶにふさわしい天体。今回の成果は「第二の木星」の直接撮像にこれまでで最も近づいたと言える。
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