京大、多能性幹細胞から遺伝子を用いて生殖細胞を誘導することに成功

京都大学大学院医学研究科教授の斎藤通紀氏と博士課程学生の中木文雄氏らの研究グループは、多能性幹細胞であるマウスES細胞から、3種類の遺伝子(転写因子)を用いて始原生殖細胞を誘導する培養系を開発した。また、この培養系で得られた始原生殖細胞から精子を作製し、子供を産み出すことにも成功した。

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研究グループは今回、ES細胞を分化させたエピブラスト様細胞(EpiLCs)に、Blimp1、Prdm14、Tfap2cの3種類の遺伝子(転写因子)を発現させることにより、始原生殖細胞様の細胞を得ることに成功した。この細胞を不妊の雄マウスの精巣に移植したところ、正常な精子形成が確認された。さらに、この精子を正常な卵子と体外受精させたところ、健常なマウスが得られた。これらのマウスは正常に成長し、子供を作る能力があることも分かった。

この研究により、生殖細胞の形成過程の解明に向けて大きく前進することが期待される。また、この成果は世界で初めて生殖細胞が特定の遺伝子で誘導されうることを示したものであり、マウスのみならず、ヒトを始めとしたほかの動物種でも同様のアプローチがなされうるものと期待される。

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