理研ほか、短寿命原子核の高精度質量測定法MRTOFを開発

理化学研究所と筑波大学は共同で、短寿命原子核の質量を測定できる多重反射型飛行時間測定式質量測定器(MRTOF)を開発し、 高エネルギー短寿命イオン(8Li)の質量をわずか8ミリ秒の飛行時間によって150万分の1の高精度で測定できることを確認した。

130708riken1

今回開発に成功したMRTOFは、イオントラップで蓄積・冷却したイオンを、1対の静電ミラー電極間で数百回往復させ、その飛行時間から質量を測定する装置。この装置を用いて理研が保有するRIビームファクトリー(RIBF)から得られた高エネルギー短寿命Li同位体イオン(8Li+)を減速・冷却した後、8ミリ秒間飛行させ、原子質量標準である炭素同位体イオン(12C+)の飛行時間と比較することによって、質量を150万分の1の精度で決定できることを確認した。これは、原子核の構造や、超新星爆発時の重い元素合成経路を決定するために必要かつ十分な性能である。

本成果は、現在建設中の超低速RIビーム生成装置(SLOWRI)を用いた本格的な短寿命核の精密質量測定による重元素の起源の解明と、気体充填型反跳核分離器(GARIS)を使用した未知の超重元素の探訪への道筋をつけるもの。

詳しくはこちら