慶應義塾大学理工学部情報工学科教授の大槻知明氏は、センサなどを身につけること無く、電波を用いて人の転倒・転落を検出するシステムの開発に成功した。高齢者の転倒を速やかに検出することは、生命や後遺症の観点から重要だが、これまでのセンサを身につけるシステムや監視カメラを用いたシステムは、装着の煩わしさや監視カメラによる心理的負担等が問題となっていた。
研究室で開発した、電波を用いた「行動・状態識別センサ(アレーセンサ)」と、車のスピードや球速を計測するとき等に用いられている「ドップラーレーダ」を用いた転倒・転落監視システムの開発に成功した。
それらセンサにより、空間の電波の伝わり方の変化と、転倒・転落によるドップラーシフトをそれぞれ検出し、それらに基づき、センサなどを身につけること無く、人の転倒・転落を検出することができる。センサから直接見える場所での転倒を95%以上、物陰など直接は見えないところでの転倒も85%以上の確率で検出することに成功した。開発した転倒・転落監視システムは、アレーセンサ単独で構成することも可能。
同大では実用化に向けて、今年度、住友電気工業と共同で、開発したシステムの有効性について検証していく予定。
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