東大、大脳皮質の機能マップの面積が神経細胞の多様性と連動していることを明らかに

東京大学先端科学技術研究センター講師の高橋宏知氏らは、ラットに音学習をさせた実験と情報理論による解析により、脳の機能マップの面積と神経細胞の多様性が連動して変化することを発見した。

大脳皮質では、脳の領域ごとに、そこが担う機能が決まっており、これを図示したものが、脳内の機能マップだが、機能マップが、脳の情報処理において、どうして必要なのか、また、どのように役立っているかはわかっていなかった。

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ラットに音に関わる学習をさせたところ、学習途上のラットの聴覚野では、音に反応する神経細胞が増え、それに伴い、様々な音に反応する細胞が現れ、神経反応の多様性が増加した。一方、学習終盤では、音に反応する神経細胞が減り、その多様性も減少した。

これらの結果から、脳にとっての学習とは、多くの神経細胞を情報処理に参加させて、神経活動の多様性を増やすことで、効率的に解を発見することであると示された。また、学習の効用とは、一旦、解を発見した後、無駄な神経活動を排除することで、効率的な情報処理を獲得することであることも示された。このように、機能マップの面積は、神経細胞の多様性を反映していることが明らかになり、機能マップの理解が深まった。

この成果は、脳の動作原理に進化論の視点を取り入れた「神経ダーウィニズムの仮説」を裏付けるもので、将来的に効果的な教育、創造性の涵養、リハビリなどの分野でより高い学習効果を発揮する方法論の確立に寄与することが期待される。

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