筑波大、海洋生態系で重要な役割を演じてきた円石 藻類 のゲノムを解読

筑波大学生命環境系教授の白石善博氏が参加する円石藻類ゲノム配列コンソーシアムは、円石藻の1種「Emiliania huxley: エミリアニア・ハクスレイ」の核ゲノムの全塩基配列の解読・解析に成功した。

円石藻は、ハプト植物門に属する海洋性のプランクトン。世界中の多様な海域にすみ生息数が多いこと、光合成による一次生産を活発に行うこと、石炭(炭化カルシウム)でできた殻(円石)を形成することから、海洋生態系の食物連鎖、海洋系及び大気系における炭素やリンの物質循環、気候変動の原因となる二酸化炭素量の調節などで重要な役割を担っている。

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読解されたエミリアニア・アクスレイのゲノムサイズは約168メガベースペアで、33,431個の遺伝子をエンコードしていることを明らかにした。

エミリアニア・ハクスレイの13の地理的系統(タイプ)についてゲノム解析結果の比較を行なったところ、光合成、栄養摂取、殻形成などに関与する塩素配列に系統間で大きな異変が見つかった。また、そうした変異を可能にしている「パンゲノム」の存在が確認された。パンゲノムの確認は、真核微生物では初めて。

エミリアニア・ハクスレイが世界的に分布し、多様な環境に適応している理由の一部はこのようなパンゲノムを多様な環境に急速に進化適応させた結果として説明できると思われる。

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