東大、グリア細胞が脳傷害から神経を守るカルシウム機構を解明

東京大学医学系研究科細胞分子薬理学分野教授の飯野正光氏らは、グリア細胞内のカルシウム濃度の変化が、通常型から病態型への変化と神経細胞を保護する作用を獲得するために重要であることを発見した。

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脳内において神経細胞を取り囲むように存在するグリア細胞は、その数が神経細胞を凌ぐ。通常、グリア細胞は神経細胞の信号伝達をサポートすると考えられているが、てんかんや脳梗塞などの脳疾患、あるいは脳挫傷などの外傷により脳がダメージを受けると、グリア細胞は「通常型」から「病態型」へと姿を変えて神経細胞を保護する機能を獲得する。

今回の研究では、損傷した脳組織周辺のグリア細胞において細胞内カルシウム濃度が上昇することに着目し、グリア細胞内のカルシウム濃度の変化とグリア細胞の通常型から病態型への変化との関係を調べた。その結果、カルシウム濃度の変化が、ある種のタンパク質の合成を加速させることで病態型への変化を制御していることがわかった。

この研究は、グリア細胞内のカルシウム濃度の変化が、脳損傷の治癒過程に貢献することを初めて示しただけではなく、脳疾患の新規治療法の開発につながる可能性を秘めた重要な知見となるもの。

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