産総研、CO2地中貯留がもたらす地下微生物生態系への影響を解明

産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門地圏微生物研究グループ研究員の眞弓大介氏、研究グループ長の坂田将氏、生物プロセス研究部門生物資源情報基盤研究グループ主任研究員の玉木秀幸氏、研究グループ長の鎌形洋一氏らは、国際石油開発帝石(INPEX)技術本部シニアコーディネーターの前田治男氏、英国ニューキャッスル大学シニアリサーチャーのJan Dolfing氏らと共同で、枯渇油田の二酸化炭素(CO2)地中貯留が微生物生態系へ及ぼす影響を調査した。その結果、枯渇油田の微生物生態系に見られるメタン生成活動は、CO2地中貯留によって生じる高濃度CO2環境でも存続することを発見した。

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枯渇油田は、発電所などで発生する大量のCO2を回収し、地中に隔離するCO2回収・貯留(CCS)の貯留サイトに適している。一方、世界中の油田にはメタン生成活動を行う微生物生態系が広く分布しており、油田の内部で生成するメタン(天然ガス)が新たな資源となる可能性がある。

今回、CO2濃度が増加した環境では枯渇油田の微生物群集はその構成微生物種を劇的に変化させながらもCO2に対する頑健性を保ち、メタン生成活動を維持することを実証した。今回の研究成果は、これまでの地球科学を中心としたCO2地中貯留の研究に微生物学的な新しい視点を付加することで、今後のCCS技術の実用面での可能性を広げた。

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