理研、アトピー性皮膚炎の発症に関わる4つのゲノム領域を新たに発見

理化学研究所統合生命医科学研究センター副センター長の久保充明氏、呼吸器・アレルギー疾患研究チームチームリーダーの玉利真由美氏、研究員の広田朝光氏を含む国際共同研究グループは、アトピー性皮膚炎の発症に関連する4つのゲノム領域を新たに発見した。

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今回の研究では、まず欧州の研究チームが、免疫関連疾患を詳細に解析するための「イムノチップ解析法」を用いて、欧州人集団(アトピー性皮膚炎患者4,376人、非患者10,048人)のアトピー性皮膚炎の遺伝要因の探索を行った。その結果、新たに4つのアトピー性皮膚炎に関連するゲノム領域(4q27、11p13、16p13.13、17q21.32)を発見した。

次に理研の研究チームが、その結果の検証を日本人集団(アトピー性皮膚炎患者2,397人、非患者7,937人)で行ったところ、4つの関連ゲノム領域のうち3つの領域(11p13、16p13.13、17q21.32)が日本人のアトピー性皮膚炎発症にも関連することを確認した。

発見した4つのゲノム領域とその近くの領域には、免疫応答に関与する遺伝子や自然免疫と獲得免疫を制御するタンパク質、抗体遺伝子の再構成に重要な働きをする遺伝子のほか、かゆみに関わる神経成長因子受容体が存在していた。これは、発見された遺伝要因がそれらの遺伝子発現量に影響する可能性を示唆している。

今回の知見は、今後の臨床研究の仮説立案や治療標的分子の絞り込みに役立つと期待できる。

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