京大,マウスの血管透過性が変化する様子を撮影することに世界で初めて成功

京都大学医学研究科 日本学術振興会特別研究員の江川形平氏,同准教授の椛島健治氏らの研究グループは,生きたマウスを用いて,血管透過性が変化する様子を動画に撮影することに世界で初めて成功した。

研究グループはまず,蛍光標識デキストランをマウスに静脈注射し,血管を蛍光で光らせた。この時,さまざまな分子サイズの蛍光標識デキストランを用い,分子サイズによる漏れやすさの違いから皮膚の血管透過性を評価した。その結果,およそ分子量70,000以下のものは炎症がなくても容易に血管外へ漏れ出ることを観察した。これは主要な血清タンパクであるアルブミン(分子量66,000)が長く,血管内に留まることと合致する結果。

無題

一方で,さまざまな方法で血管透過性(炎症)の亢進を誘導し,それを動画に撮影した。ヒスタミンの静脈注射では,注射直後に血管透過性が亢進し,とくに後毛細管静脈と呼ばれる部位から漏出が起こることを明らかにしました。これは急激に血管透過性が亢進するアナフィラキシーに相当するモデル。また,皮膚のかぶれ反応を誘導し,皮膚炎部位で持続的に血管透過性の亢進が生じている様子を撮影した。

これらの炎症部位では分子量2,000,000のデキストランでも容易に血管外へ漏出しており,免疫グロブリン(分子量150,000)のような高分子量の血清タンパクでも炎症部位では組織中に高濃度に分布することが示唆された。

血管透過性の制御は,免疫グロブリンの組織への分布をも制御していると考えられ,今回得られた知見は,自己免疫病などの病態メカニズムの解明にも役立つものと期待される。

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