放医研、放射線がん治療の効果を画像で確認できる超早期診断法を開発

放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター分子病態イメージング研究プログラムチームリーダーの青木伊知男氏、博士研究員(客員協力研究員、現・大阪大学)の齋藤茂芳氏らは、がん細胞に放射線を照射してから24時間後に、その効果の有無が画像として確認できる手法を世界で初めて開発し、マウスの大腸がんモデルを用いて証明した。

放射線がん治療は拡大しつつありますが、その効果の確認には、数週間以上に及ぶ腫瘍体積の変化の観察が必要。放射線治療の効果がないとわかった時には、いわゆる「手遅れ」になりかねないため、早急な効果の確認が望まれていますが、これまで、放射線によるがん細胞照射から24時間後の腫瘍では、体内で細胞・分子レベルの変化を画像化することが不可能とされてきた。

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本研究で高い解像度を持つ高磁場MRIと特殊な機能性造影剤を用いて、マウスの大腸がんモデルの腫瘍による造影剤の取り込み量の変化を、照射後24時間後に画像化することに成功した。また細胞内への造影剤の取り込み量の低下が、細胞周期の停止を反映することも発見し、この原理により、放射線がん治療後の超早期に、治療効果の有無や治療効果範囲の確認が可能になる。万が一、治療効果が無かった場合でも迅速に他の治療手段にバトンタッチすることにより「手遅れを無くす」ことが期待できる。

現時点での成果は前臨床研究レベルですが、今後、より効率的な送達法や安全性の検証により、臨床への応用も期待される。

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