阪大、上皮組織でのバリア機能を解明

大阪大学大学院生命機能研究科・医学系研究科教授の月田早智子氏と名古屋大学細胞生理学研究センター(CeSPI)の藤吉好則氏らの共同研究グループは、細胞と細胞を隙間なく繋げるタンパク質であるクローディンファミリー様タンパク質の分子構造を世界で初めて示し、細胞間接着装置が持つ複雑な機能の解明に向けて極めて重要な知見を得ることに成功した。

私たちは体内と外界とをしっかりと‘隔てる’事により、体の恒常性を維持している。この‘隔てる’役割をしているのが上皮組織とよばれる組織。上皮組織は隣り合う細胞と細胞がしっかりと繋ぎあうことで細胞のシートを形成し、その繋ぎあう機能を果たしているのが細胞間接着装置である。その中でもタイトジャンクション【Tight junctions (TJs)】と呼ばれる構造体はクローディン【claudin】とよばれるタンパク質により細胞と細胞の距離をほぼ0にまで近づけ、体内と外界を‘隔てる’ことに寄与していることは知られていたが、今日までクローディンタンパク質がどのような形をし、どのように結合しているのかは全く解らなかった。

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今回の研究結果はクローディンに似たタンパク質の構造を明らかにし、クローディンの構造解析に大きなヒントを与えることができた。近い将来、クローディンの構造が解明され、細胞間接着不全による炎症性腸疾患(クローン病など)への新規治療薬の設計が加速度的な進展を遂げると期待される。

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